デジタル遺品の整理帳

故人のパソコンのパスワードが分からないときに確かめること 回復キーと復旧業者

内容の確認日: 2026年11月4日

故人のパソコンのパスワードが分からないときは、まずパスワードそのものを探し、次にMicrosoftやAppleの公式のリセット手順が使えるかを確かめる順番で進めます。ただし、Microsoftのサポートは、忘れたパスワードを取得したり回避したりできないと明記しています。公式の手順が使えるかどうかは、故人が事前に何を設定していたかで決まります。

ディスクが暗号化されている場合(WindowsのBitLocker、MacのFileVault)は、48桁の回復キーなどが別に要ります。回復キーが見つからなければ、データ復旧の業者でも暗号化は解除できないと、ある復旧業者の公式ページは説明しています。この記事は一般的な情報で、個別の判断は弁護士・司法書士などの専門家にお願いします。内容は2026年11月4日に確認しました。

まず、パスワードと回復の手がかりを探す

最初にすることは、パスワードを推測することではありません。故人が残したメモや手帳、エンディングノート、パスワード管理アプリ、スマホの中のメモに書かれていないかを探します。パソコンのそばの付箋や、手帳の最後のページに書いてあることもあります。

机の上のノートパソコンと手帳とペン
写真: www.Pixel.la Free Stock Photos / CC0(Wikimedia Commons)

確かめておきたいのは、次のことです。

  • Windowsか、Macか(起動したときのサインイン画面の見た目で分かる)
  • サインインに使っていたのが、Microsoftアカウント(メールアドレス)か、パソコンだけのローカルアカウントか
  • Macの場合は、Apple Accountでパスワードをリセットできる設定になっているか
  • 暗号化(BitLockerやFileVault)が有効か

スマホとパソコンは別の機器です。スマホのロックが解除できないときは、故人のスマホのロックが解除できないときを見てください。Microsoftアカウントのリセットには、登録したメールアドレスや電話番号に届く確認コードが要ります。

Windowsのサインインと、Microsoftの案内

Microsoftのサポートページは、アカウントの種類ごとに方法を分けています(ローカルアカウントは出典の1つ目、Microsoftアカウントは出典の2つ目のページ)。

  • ローカルアカウント: サインイン画面からセキュリティの質問に答える。パスワードリセットディスクを作ってあればそれを使う。別の管理者アカウントでサインインできるなら、そこから新しいパスワードを設定する。管理者アカウントがない場合は、パソコンのリセットが必要になる。
  • Microsoftアカウント: サインイン画面の「パスワードを忘れた場合」から、登録したメールアドレスや電話番号に届く確認コードで新しいパスワードを設定する。
HP製のノートパソコン
写真: MayankMurthy0606 / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

どちらの方法も、セキュリティの質問、リセットディスク、回復用のメールや電話番号がなければ進めません。Microsoftのページには、サポート担当者が紛失したパスワードを取得したり回避したりすることはできず、リセットのリンクを送ることも許可されていないと書かれています。

パソコンのリセットは、中身を見る方法ではありません。MicrosoftのBitLocker回復キーのページは、リセットするとすべてのファイルが削除されると説明しています。実行する前に、専門家に相談してください。

Microsoftは、利用者が亡くなったときのOutlook.comやOneDriveへのアクセスについて、専用のページを設けています。日本語のページで確かめた内容は次のとおりです。

  • 死亡を知らせるために、Microsoftへ連絡する必要はない
  • サインインの情報が分かるなら、利用者自身がアカウントを閉じられる。分からない場合は、2年間使われないと自動的に閉鎖される
  • 個人のメールアカウントやOneDriveの内容を開示するには、有効な召喚状または裁判所命令を、Microsoftの登録代理人に正式に送る必要がある。内容が提供される保証はない

このページには、日本向けの具体的な手続きの記述はありません。アカウントの中身が必要なときは、弁護士などの専門家に相談してください。

Macのログインパスワードと、Appleの案内

Appleのサポートページは、Macのログインパスワードを忘れたときの方法を順に挙げています。

  1. ログインウインドウのパスワード欄の横にある疑問符を押すと、設定時に登録したヒントや、リセットの案内が出る場合がある
  2. リセットのメッセージが表示されたら、その指示に従う。Apple Accountの情報や復旧キーが必要になることがある
  3. それでも解決しないときは、macOS復旧を起動して、ターミナルから「resetpassword」を実行する
  4. 復旧キーを求められたときは、macOS Tahoe 26以降なら、同じApple Accountでサインインした別のAppleの機器のパスワードアプリで確認できる可能性がある
  5. ほかに方法がないときは、Macを消去して再インストールできる。ただし、すべてのユーザアカウント、パスワード、データが削除される
図書館の机に置かれたMacBook(モノクロ写真)
写真: Ghost Presenter / CC0(Wikimedia Commons)

Apple Accountのパスワードを家族が知らない場合は、Appleのページが示すリセット手順を使えるかどうかが分かれ目になります。故人のApple Accountへのアクセス申請は、Appleの別のページがあります。詳細は故人のスマホのロックが解除できないときで説明しています。

暗号化されたパソコンの回復キー

BitLockerは、Windowsのドライブを暗号化する機能です。回復キーは48桁の数字で、暗号化されたドライブのロックを解除するために使います。Microsoftのページによると、回復キーは次の場所に保存されている可能性があります。

  • Microsoftアカウント(別の機器のブラウザーで、アカウントの回復キーのページ aka.ms/myrecoverykey にサインインして探す)
  • 職場や学校のアカウント(組織のページから探す)
  • BitLockerを設定したときに印刷した紙
  • テキストファイルとして保存したUSBメモリー

回復画面に表示される「回復キーID」の最初の8桁を書き留めて、保存されたキーのIDと照らし合わせます。見つからない場合、Microsoftのページは、デバイスのリセットが必要になるがすべてのファイルが削除されると説明し、Microsoftサポートは失われた回復キーを取得も再発行もできないと書いています。

カバーを外した旧式のハードディスク
写真: Zzubnik / パブリックドメイン(Wikimedia Commons)

MacのFileVaultの復旧キーは、FileVaultを有効にしたときに作られる24文字の英数字のコードです。Apple Accountの回復キーとは別のものです。AppleのMacユーザガイドは、FileVaultの設定で「iCloudアカウントによるディスクのロック解除を許可」を選んでいれば、Apple Accountでログインパスワードをリセットできる場合があると案内しています。

Appleの英語のページは、ほかの方法でログインできないとき、Macを消去すればまた使えるようになると案内しています。消去すると、各ユーザーアカウント、パスワード、データが完全に削除されます。

データ復旧の業者に頼める範囲

カバーを外した2.5インチのハードディスク
写真: Evan-Amos / CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons)

データ復旧の業者に頼めるのは、主に壊れたディスクからデータを取り出す作業です。「デジタルデータリカバリー」(デジタルデータソリューション社)の公式ページは、ドライブが認識されないなどの物理的な故障では、操作を止めて専門業者に相談するよう案内しています。一方で、BitLockerの回復キーがない場合について、同ページは次のように書いています。

  • 失われた回復キーの再発行や再作成はできない
  • 回復キーIDから48桁の数字を逆算することはできない
  • 「回復キーがなければ、暗号化されたドライブはデータ復旧業者でも解除できません」

ページには、初期診断が無料と書かれていますが、復旧の料金は本文になく、別のページへのリンクがあるだけでした。業者によって料金や対応範囲が違うため、依頼する前に見積もりと条件を書面で確認してください。

「パスワードを破るソフト」や、解除を引き受けるという広告もあります。これらの効果は、公式の資料で確かめられませんでした。操作を誤ると、データが取り出せなくなることがあります。まずは公式の手順と回復キーの探索を優先し、不安があれば弁護士などの専門家に相談してください。

中身を確かめたあとのパソコンの処分は、遺品のパソコンの処分方法で扱っています。

パソコンの中の手続きや契約を探すのが目的なら、パソコンを開く以外の方法もあります。故人のサブスクの解約とネット銀行・ネット証券の見つけ方で、クレジットカードの明細などから探す方法を書いています。

出典

いずれも2026年11月4日に確認しました。画面の表示や手順はOSのバージョンで変わることがあります。

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