遺品のパソコンの処分方法 PCリサイクルマークの確認とデータ消去
家族が使っていたパソコンは、家庭用なら、まずメーカーに回収を申し込むのが基本です。2003年10月以降に売られた家庭向けパソコンには「PCリサイクルマーク」が付いていて、追加の料金なしで回収・リサイクルしてもらえます。マークがない古いパソコンは、回収再資源化料金がかかります。
もう1つ大切なのは、データの消去です。パソコン3R推進協会は、ごみ箱に捨てる、初期化する、リカバリをするだけでは、データが読み取られる場合があると注意しています。この記事は一般的な情報で、個別の判断はメーカーの窓口やお住まいの自治体、データ消去の専門事業者などにお願いします。内容は2026年11月4日に確認しました。
処分する前に確かめておきたいこと
遺品のパソコンは、捨てる前に家族で一度、中身を確かめておく価値があります。ネット銀行やネット証券の取引、サブスクの契約、写真や文書などが、そのパソコンにだけ残っていることがあるからです。

ネット銀行や証券口座の見つけ方は故人のネット銀行・ネット証券の記事に、有料サービスの探し方はサブスクの解約の記事にまとめました。パスワードが分からないときも、処分を急がずに調べるほうが後悔が少なくなります。
ここで1つ、気をつけたいことがあります。パソコンのデータ消去は、一度やると元に戻せません。残したいデータは、先に別の記録媒体へ移しておきます。処分の期限を決めてしまう前に、家族の間で「消してよいか」を確かめておくと安心です。
処分の行き先は3つある
家庭のパソコンの行き先は、大きく3つに分かれます。

- メーカーの回収: 資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)にもとづく仕組みです。パソコンを作ったり輸入したりして売る事業者に、回収と再資源化の義務があります(パソコン3R推進協会のQ&A)。
- 小型家電リサイクル: 使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(小型家電リサイクル法)の仕組みです。同法の施行令は、対象の電気機械器具に「パーソナルコンピュータ」を挙げています。集め方は市区町村によって違い、国が認定した事業者が回収する方法もあります。
- 自治体のごみ: PCリサイクルマークのないパソコンを、粗大ごみや小型家電として扱う自治体があります。
自治体の扱いは、市によってはっきり違います。岡山市のページ(2024年7月更新)は、PCリサイクルマークの付いたパソコンは市では収集せず、メーカーなどに問い合わせるよう案内しています。マークのないパソコンは、粗大ごみとして収集・持ち込みができ、20リットルの有料指定ごみ袋に入るノートパソコンなどは小型家電として回収するとしています。ほかの市区町村では扱いが違うことがあるため、お住まいの自治体の案内で確かめます。
環境省は、小型家電リサイクル法にもとづいて国が認定した事業者の一覧を公表しています(2026年6月12日現在)。事業者ごとに、集める地域が決まっています。全国を収集区域にしている認定事業者もあれば、都道府県単位の事業者もあります。一覧には認定番号、事業者名、収集区域、連絡先が載っています。
PCリサイクルマークと費用
パソコン3R推進協会のページによると、PCリサイクルマークは平成15年(2003年)10月以降に販売された家庭向けパソコンに付いています。マークのあるパソコンは、廃棄するときに新たな料金を負担せずに出せます。2003年9月までに買った製品など、マークのないパソコンは、回収再資源化料金を自分で払います。料金はメーカーごとに違うので、メーカーに問い合わせます。

メーカーが回収する場合、次の点が決まっています(パソコン3R推進協会のQ&A)。
- 対象は、デスクトップ型パソコン、ノートブック型パソコン、ブラウン管式と液晶式のディスプレイ、ディスプレイ一体型のパソコンです。
- キーボードやマウスなど、購入時に同梱されていた付属装置は、いっしょに出せば回収されます。
- プリンターなどの周辺機器、サーバー、ワークステーション、ワープロ専用機は回収の対象外です。
- 本体とディスプレイのメーカーが違うときは、それぞれのメーカーに申し込みます。
- 中古で買った、または人からもらったパソコンも、いま出す人がそのメーカーに申し込みます。
法律の面では、重さが1キログラム以下のパソコンは対象外と規定されています。ただし同協会は、会員メーカーはノートブック型なら1キログラム以下でも自主的に回収していると説明しています。タブレットも、同様に回収するメーカーがあるとのことです。機種ごとの扱いはメーカーに確かめます。
メーカーが倒産して事業を引き継ぐ者もいない、自作した、海外から個人輸入した、といったパソコンは、回収する義務のある事業者がいません。この場合は、パソコン3R推進協会が有償で回収します(PCリサイクルマークが付いていても、倒産したメーカーのパソコンは同協会の所定の料金がかかります)。メーカーが存在するか分からないときは、同協会のパソコンリサイクル受付センター(044-540-0576)に相談できます。
データの消し方
パソコン3R推進協会の「データ消去について」のページは、廃棄するときは、ハードディスクの全データを使用者の責任で消去する必要があると書いています。ごみ箱に捨てる、削除する、ごみ箱を空にする、フォーマットする、リカバリ(出荷時の状態に戻す)といった操作では、データの管理情報が変わるだけで、データ自体が残る場合があるためです。

同協会が挙げる消去の方法は3種類です。
- 消去ソフトでの上書き: ハードディスクに無意味なデータを上書きする方法。家庭でも使える製品がある。
- 消磁装置: 強い磁気で消す方法。機械が高価なので、ふつうは消去サービスの事業者に頼む。消したハードディスクは使えなくなる。
- 物理的な破壊: 専用の機器で壊す。販売店がサービスとして行うところもある。
ソフトでの上書きについて、同協会のQ&Aは、固定パターンで1回塗りつぶせば十分で、2回行えば一般的に完全としています。作業のあとに、正常に終わったかどうかのログが取れるソフトが望ましいとも書いています。
パソコンが動かなくなっていても、ハードディスクは生きている場合があります。その場合は、動くパソコンにつないで消去ソフトで消すか、専門の事業者に頼みます。ハンマーなどで自分で壊すのは、けがの危険があるのでやめるよう、同協会は注意しています。最近のハードディスクの円盤はガラス製で、簡単に砕けるためです。
同協会のページが主に取り上げているのは、ハードディスクです。SSDなど別の記録装置を使ったパソコンの消し方は、メーカーの案内で確かめてください。
パソコンに入っているデータを自分で消すのが不安なときは、パソコンメーカー、販売店、サポート業者のサービス窓口に相談するよう、同協会のQ&Aは案内しています。故人のパソコンの中身を調べたり、ログインできないパソコンを扱ったりする作業も含めて、専門の事業者に頼む方法があります。
申し込みから回収までの流れ
パソコン3R推進協会のページに載っている、メーカー回収の流れです。メーカーによって細かい方法は違います。

- 対象機器と、PCリサイクルマークの有無を確かめる。
- メーカーのホームページなどから申し込む。製品のカテゴリーや型番を入力するため、先に控えておく。
- マークがない場合は、回収再資源化料金を支払う。支払い方法はメーカーによって違い、支払いのあとに専用の伝票が届く。マークがある場合は、申し込みのあとすぐ伝票が届く。
- パソコンを簡易に梱包し、伝票(エコゆうパック)を貼る。複数台を出すときは、1台ずつ梱包して、それぞれに伝票を貼る。
- 郵便局に集荷を頼むか、最寄りの郵便局へ持ち込む。コンビニなどでは取り扱えない。
送料などの別途の費用はかからない、と同協会は書いています。申し込んだ内容と届いたパソコンが違うと、返却されることがあります。回収が終わるまで、申し込みの控えは取っておきます。
出典
- パソコン3R推進協会「リサイクルの手順」 https://www.pc3r.jp/home/recycle_flow.html
- パソコン3R推進協会「PCリサイクルマークについて」 https://www.pc3r.jp/home/pcrecycle_mark.html
- パソコン3R推進協会「梱包と回収について」 https://www.pc3r.jp/home/method.html
- パソコン3R推進協会「データ消去について」 https://www.pc3r.jp/home/data_erase.html
- パソコン3R推進協会「メーカー名が見当たらない場合」 https://www.pc3r.jp/home/noname.html
- パソコン3R推進協会「PCリサイクルQ&A」 https://www.pc3r.jp/home/faq.html
- 資源の有効な利用の促進に関する法律施行令(e-Gov法令検索。別表にパーソナルコンピュータ、重量1キログラム以下を除く旨の定めがあります) https://laws.e-gov.go.jp/law/403CO0000000327
- 使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律施行令(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/425CO0000000045
- 環境省「小型家電リサイクル関連」 https://www.env.go.jp/recycle/recycling/raremetals/index.html
- 環境省「認定事業者および連絡先一覧」(2026年6月12日現在) https://www.env.go.jp/recycle/recycling/raremetals/trader.html
- 岡山市「パソコンの処分について知りたい」(2024年7月23日更新) https://www.city.okayama.jp/faq/faq_detail.php?frmId=311
いずれも2026年11月4日に確認しました。メーカーの料金や申し込み方法は変わることがあるため、申し込みの前にメーカーの最新のページを確かめてください。