デジタル遺品の整理帳

生前にできるデジタル終活 スマホのスペアキーとパスワードの残し方

内容の確認日: 2026年11月3日

デジタル終活でまず手をつけたいのは、スマホのパスコードを家族に伝わる形で残すことです。国民生活センターは、名刺大の紙にパスコードを書き、上から修正テープを貼って保管する「スマホのスペアキー」を紹介しています。

あわせて、Appleの「故人アカウント管理連絡先」やGoogleの「アカウント無効化管理ツール」を設定し、ネットの契約を一覧にしておくと、家族の手続きがぐっと楽になります。この記事は一般的な情報で、個別の判断は弁護士・司法書士などの専門家にお願いします。内容は2026年11月3日に確認しました。

残された家族が困ること

国民生活センターは2024年11月に「デジタル終活」の注意喚起を出しました。そこで挙げられている困りごとは、大きく3つです。

  • パスワードが分からないと、第三者がスマホのロックを解除するのは困難
  • ネット銀行などで実店舗のない事業者だと、手続きが郵送になり時間がかかることがある
  • サブスクは解約しない限り請求が続き、事業者は契約者の死亡を知る手段がない

同じ資料は、総務省の令和5年の通信利用動向調査も引いています。スマホでインターネットを使う人は、20代から50代で約9割、60代で78.3%、70代で49.4%です。年齢が上がっても、スマホの中に大事な情報がある人は少なくありません。

遺族の側でどんな手続きが必要になるかは、故人のスマホのロックが解除できないときと故人のサブスクの解約にまとめています。この記事では、本人が元気なうちにできる準備を扱います。

机に並んだスマートフォンや小型の機器
写真: Niklas Veenhuis / CC0(Wikimedia Commons)

スマホのスペアキーを作る

国民生活センターが紹介している「スマホのスペアキー」の作り方は、次のとおりです。

  1. 名刺くらいの大きさの紙に、スマホのパスコードを書く
  2. 書いた部分の上に、修正テープを2〜3回重ねて貼る
  3. 万が一のときに家族が見つけられる場所に保管しておく

修正テープは、削れば下の文字が読めます。生きているうちは誰にも見られず、いざというときは家族が削って読めるという仕組みです。テープが削られていたら、パスコードを変えるよう勧めています。

紙に書くのに抵抗がある場合は、家族だけが分かる合言葉にしておく方法も紹介されています。どちらの方法でも、保管場所や合言葉を家族が知らなければ役に立ちません。

修正テープ
写真: Wiki Farazi / CC0(Wikimedia Commons)

iPhoneとGoogleアカウントで設定しておくこと

Appleの「故人アカウント管理連絡先」は、亡くなったあとにデータを受け取れる人を、本人があらかじめ指定しておく仕組みです。Appleのサポートページによると、iPhoneでは次の順に進みます。

  1. 「設定」を開き、自分の名前をタップする
  2. 「サインインとセキュリティ」から「故人アカウント管理連絡先」を選ぶ
  3. 「故人アカウント管理連絡先を追加」を選び、相手を指定する

必要なのはiOS 15.2以降です。管理連絡先は複数の人を指定できます。指定すると「アクセスキー」が作られ、相手にメッセージで送るか、印刷して渡します。家族が申請するときは、このアクセスキーと死亡の証明書が必要です。

Googleの「アカウント無効化管理ツール」は、アカウントが一定期間使われなかったときに、指定した人へ通知やデータを送る仕組みです。設定は myaccount.google.com/inactive から行います。Googleのヘルプでは、次のように説明されています。

  • 通知する相手は最大10人まで指定できる
  • 共有するデータは、すべてか一部の種類かを相手ごとに選べる
  • 相手には、設定した時点では通知されない

Googleは、このツールを設定していないアカウントでも、2年以上使われていなければ削除する権限があるとしています。使っていないアカウントこそ、設定しておく意味があります。

ノートパソコンの上に置かれたiPhone
写真: SimonWaldherr / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

ネットの契約とIDを一覧にする

国民生活センターは、毎月お金を払っているネットの契約について、サービス名・ID・パスワードを整理しておくよう勧めています。一覧にしておきたいものの例は次のとおりです。

  • ネット銀行・ネット証券・暗号資産の交換業者
  • 電子マネーやコード決済のアプリ
  • 動画や音楽の配信、アプリなどのサブスク
  • メールアドレスと、そのアドレスで登録しているサービス

IDやパスワードの整理には、AppleやGoogleのパスワード管理の機能も使えます。国民生活センターの資料でも、その案内ページが紹介されています。ただし、パスワード管理の機能を開くにはスマホのロック解除が必要です。スペアキーと組み合わせて使ってください。

証券口座については、家族がほふり(証券保管振替機構)に有料で開示請求すれば、口座のある証券会社が分かる仕組みもあります。とはいえ費用と時間がかかります。口座のある会社名だけでも書いておくと、家族の手間が減ります。詳しくは故人のネット銀行・ネット証券の見つけ方で説明しています。

机の上に開いたノートとペンと眼鏡
写真: Shixart1985 / CC BY 2.0(Wikimedia Commons)

エンディングノートにまとめて残す

一覧やスペアキーの保管場所は、エンディングノートに書いておくと家族が見つけやすくなります。国民生活センターの資料では、法務省と日本司法書士会連合会が作ったエンディングノートが紹介されています。法務省のサイトからPDFで手に入ります。

ノートに書くときは、パスワードそのものを書くかどうかを考えてください。ノートは家族が手に取りやすい場所に置くことが多いからです。パスワードはスペアキーに任せ、ノートには「どこに何があるか」を書く分け方もあります。これは公的な資料ではなく、この記事からの提案です。

書いた内容は、契約が増えたり減ったりするたびに古くなります。年に一度など、見直す時期を決めておくと安心です。

何から整理すればよいか分からないときは、デジタル遺品の整理を手伝うサービスに相談する方法もあります。

鍵が差し込まれた真鍮の南京錠
写真: Shillings1005 / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

出典

いずれも2026年11月3日に確認しました。

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